市場で販売されているオゾン発生器についての考察
掲載日:2021.06.25
新型コロナ感染症にオゾンが効果的との研究結果が奈良医科大学、藤田医科大学から発表され、オゾン発生器、オゾン生成機に対する認知、需要が高まっています。
多種多様な謳い文句で多くの種類の機器が発売されています。
中には、目を覆いたくなるようなPRと製品を目にします。
オゾンは空気を原料に生成することができ、除菌や消臭することで反応し酸素に戻る性質から、使い方によっては大変便利なものです。
最近、オゾンを空間に供給すればたちどころに除菌、消臭が出来る
万能な製品であるかのような風潮が強いと感じます。
“え?本当にそうなの?”、“うそでしょ?”と言わざるを得ないような
広告と製品が多く発売されています。
消臭は結果をその場で確認できますが、除菌は効果をその場で確認できません。
除菌できている、除菌しているつもりがなんの効果もなく、クラスターが発生したといったことが起こりかねます。
永くオゾンに携わってきた一人として、このような状況が続けば、消費者の信頼を失いかねないと危惧しています。
そこで、最近目にする、気になる機器について考察してみようと思います。
1.小型軽量オゾン発生器
低濃度で人体にも対象物にも危害を与えない。
低スペックながら、小型で低コスト、導入しやすい。
このような謳い文句の機器が最近人気でものすごい売れ行きだそうです。
この種のオゾン発生器のスペックは5mg/h~1,000mg/hが主流です。
オゾンで除菌、ウイルス不活化、消臭効果を得るには先ずは、
対象空間のオゾン濃度を短時間(max60分以内)である一定以上にしなければなりません。
対象空間の広さ、オゾンの特性である反応分解と自然分解を考慮した
大容量のオゾン発生スペックが必要になります。
人体、対象物にダメージが無い=除菌も消臭もできない。
気休めに設置するのであればよいと思いますが、サービスで使ったり、
除菌、消臭効果を期待することは物理的に不可能です、注意が必要です。
2.オゾンCT値測定器搭載オゾン発生器(生成器)
オゾンCT値とは一言で表現すれば、オゾン濃度の積算です。
よって、対象空間のオゾン濃度を測定することが最も重要な点です。
オゾン濃度の測定には高度なセンサーが必要となり、それ単体でも数十万円する大変高価なものです。
次に、オゾン濃度センサーを機器に搭載するのでは対象空間の正確な数値を測定できません。
また、オゾン発生器、生成機はオゾンにさらされるのでダメージを受けやすく不具合のリスクが高い。このような理由から、オゾン生成機、オゾン発生器にCT値測定器を搭載することは
理に反していると考えます。
3.残オゾン回収分解機能付きオゾン発生器(生成器)
対象空間の除菌、消臭を目的にオゾンを空間に供給しますが、
反応しきれないオゾンが残ります、それが残オゾンです。
その残オゾンを分解する方法の一つが触媒を使った処理です。
触媒を使って残オゾンを短時間でしっかりと分解することは実はそう簡単ではありません。
触媒の材質、セルの数、使用する触媒の数、圧損、吸引するブロアのスペックなど様々な要因を満たさなければなりません。
ハンデイータイプのオゾン発生器の限られたサイズに合わせた触媒では
残オゾンを分解することは不可能です。
また、そもそも論ですが、一時側(オゾンを空間に供給し消臭)の機能が充分でなければ処理しきれない臭気を含んだ空気を回収することで、
触媒に臭気物質が吸着し臭いの発生器になってしまいます。
オゾン発生器は目的に合わせて、用途に合わせて機器を選定してください。
オゾン発生器のスペックのポイントは大きく2つ。
1.オゾン発生量(一時間にどれくらいのオゾンを発生するか)=〇〇〇mg/hで表示されています。
2.風量(生成したオゾン空間に供給するブロアの力)=〇〇〇m3/hで表示されます
オゾンに関する正確な情報、知識に基づいた機器が供給され
多くの人がオゾンを有効に活用し多くの効果を得られることを望みます。